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言葉の解像度と推し

 いつの日からは忘れてしまったのですが、「言葉の解像度」という言葉を知り、非常に良い表現であるなぁと感じた事がありました。

 「解像度」は元々画像などの鮮明さを表す指標を刺す言葉ですが、転じてその人の言葉の意味することの鮮明さという意味で、ある時期からインターネット上にしばしば見受けられるようになりました。

 言語によるコミュニケーションというのは、脳内で考えた事、感じた内容やイメージが言葉という単語で切り取られて外部に発信され、聞き手が受信してそれを読み解くと言う通信形式により成り立っていますが、その通信間には情報量が減衰するポイントがいくつかあると思うのです。で、まず脳内でどの言語を当てはめるかという場面で、自身の思考、感情を出来るだけ的確にチョイスすることで、より質の高い、あるいはより多い情報を伝えることが出来るのではないかと。これを「言葉の解像度」と表現したのが非常に巧みであるなぁと感じたのでした。

 

 実際には、身振り手振りのような言葉に依らない要素もコミュニケーションには大きく影響するらしいのですが、とはいえ、「言葉の解像度」の高さそれ自体は人生を良い感じに生きる上でプラスになる場面が多いのではないかなと。

 自分の内面を解像度高く表現することは言わずもがなコミュニケーション齟齬を減らす事に繋がるでしょうし、解像度が比較的低い言葉選びをしている人に対して的確な言葉でその解像度を高めることで、「理解が深まる」「より的確な言葉で表現出来て嬉しい」という嬉しさ、信頼感にも繋がると思うのですよね。私の体感では、優れたコーチやカウンセラーはこの能力が高いように感じました。言葉の解像度の高さはビジネスにも応用が効くと考えても、そう差し支えはないように思えます。

 

 ところで私はファイアーエムブレムというゲームを偏愛しているのですが、昨年2019年7月に最新タイトルとなる「ファイアーエムブレム  風花雪月」が発売されました。2017年2月に配信開始されたスマホアプリゲーム「ファイアーエムブレム ヒーローズ」で課金勢(私含む)より集金した潤沢な予算を武器に、これまでのシリーズの良い所を煮詰めて学園物と組み合わせたらトンでもない良ゲーが出来たと専らの噂と言っても過言がないほどには世を席巻した意欲作でございます(一部表現を誇張しております)。

www.nintendo.co.jp

fire-emblem-heroes.com

 

 さて、そんな名作であるファイアーエムブレム 風花雪月なのですが登場人物に私の最推しキャラクターの1人であるシルヴァン君という男子がおります。グッドルッキングなガイで要領の良い切れ者、貴族のため家柄も申し分なしと三拍子揃っているものの、好色家で女性を口説かずにはいられないという悪癖を併せ持っている若者です。

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グッドルッキングなガイで貴族のシルヴァン=ジョゼ=ゴーティエ(19)

 物語の舞台となる「フォドラ大陸」では、過去の大戦で大陸を救った英雄達の末裔にしばしば「紋章」という聖痕が現れます。末裔たる各々の貴族の家系では、紋章が体に現れるかどうかというのが、非常に重要なマターでした(紋章持ちの家系だからと言って、必ず紋章が現れるとは限らない)。

 シルヴァン君は、英雄の一翼ゴーティエ家に紋章をその身に宿し次男として生を受けるのですが、同じくゴーティエ家に先んじて誕生していた長男には紋章は現れず、それ故に周囲から冷遇される兄に対し、次期跡取りとして寵愛を受けるシルヴァン君という構図が生まれてしまいます。

 兄のルサンチマンの矛先は他ならぬ弟に向かい、井戸に突き落とす、雪山に置き去りにする、と留まることを知らず、いつしかシルヴァン君は自分をこのような仕打ちを受けるに至らしめた紋章と自身の運命を憎み、また同時に、その紋章(有力な血統)を求めて擦り寄る女性達を嫌悪します。

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 彼の好色な一面は、ある種そのような女性への復讐、その底には紋章によりもたらされた呪いめいた運命への抗い(だが抗い切れない)の感情が窺い知れるのでした。言ってしまえば八つ当たりなのですが、人生において受け入れ難い苦難に遭遇し、かつそれを乗り越えられないと感じてしまった際の嘆きや絶望感が、歪んだ形で他者への攻撃性に繋がることは現実にもままある事だと思います。

 更に先の切れ者で要領が良いという性格付けも、その才気が兄の劣等感を刺激していただろうと想像させるエッセンスとして効いており、ノーマークだった私はそのギャップにすっかり彼の虜になってしまいました。

 やがてフォドラ大陸全土を巻き込む戦乱が勃発、戦火を駆け抜ける中で彼の運命もまた変わっていく…その変化の様もまた趣深いのでした(とは言え彼は作中では脇役のポジションなので、比較的横軸メインの話多めではあります)

 

 何が言いたいかというと、何とか捻り出してワーワー言いましたが、言葉の解像度が足りないと「シルヴァンきゅんしゅき!!(語彙力)」「情緒がつらい!!」となって、溢れる感情に言葉が追い付かなくてただでさえ情緒がつらいのに尚つらい。私はこんなに彼を推しているのに気持ちに言葉を紡ぐ力がついてこないパイロットとして飛躍的な成長を遂げるアムロの反応に追いつけない初代ガンダムのような状態になって、大変もどかしいので、言葉の解像度を高める練習をしたいなということなのでした。

 

 解像度を高めた言葉でオタ活をより豊かで楽しい物にしたい。そう思うのでした。

 (語彙が追いつかなくて興奮している時もそれはそれで楽しいんですけど)